事前質問・回答外 


 今回の株主総会の事前質問と回答及び事前質問に対する一般株主等からの再質問や意見を記載しました。(抜粋・概要・分かる範囲で記載。また、一般株主からのいろいろな質問や意見も出されましたので、主なものをご紹介いたします。なお、総会では下記を含めたくさんの質問や意見が活発にだされました。提出文PDF)
(事前質問についての法的根拠:会社法第314条
事前質問の回答外
1.わが社の公的責任及び企業倫理ほかについて
2.伊方原子力発電所の安全対策について
3.わが社の経営コスト及び電力コストについて
4.再生可能エネルギー及びガスコンバインド発電の促進について
5.その他
その他の一般株主からの質問や意見

注)【】については質問が長かったため下記には要点を抜粋して記載しています。ご回答
するにあたっては別紙を読んでいただいた上でご回答をお願いします。

 1. わが社の公的責任及び企業倫理ほかについて 
イ.
わが社の企業としての信頼性や企業倫理についてどうお考えですか?
 【質問詳細:別紙 1.企業倫理】
会社側の回答は、地域との共生を主要理念として企業活動の様々な分野で地域社会やお客様との信頼関係の構築に努めるとともに、今後厳しくなる電気事業の中においても、需要者から信頼され選ばれる企業を目指したいということでした。これに対して一般株主から、先日発覚した伊方原発の燃料集合体の異物付着の報告漏れについて、コンプライアンスの徹底、役員、従業員の企業倫理・法令遵守の徹底が、きちんとなされていればこのような問題はそもそも起こらないのでは?きちんと教育がなされているのか?どのような体制なのか等の質問が寄せられました。
 ロ. 今回の料金改正について、電気需要者に対して具体的に、どのような方法で需要者へ情報を提供しましたか?また、料金値上げ申請に関する公聴会では、値上げについて説明が不十分である旨の意見が出されましたが、公聴会以降、それを受けてなにか追加の対策をしましたか?
 会社側の回答は、値上げの申請にあわせて、ホームページで周知する及びリーフレットの全戸配布をし、各種団体へ対して説明会を行なったというものでした。また、公聴会以降は説明を、消費者団体等も含めて範囲を拡大させた上で、四国の各地域で100回を超える説明をしましたというものでした。これに対して高知県の代表者から、電気料金の値上げは、市民生活への影響が大きいことから、ありとあらゆる機会を設けて需要者へ説明し、理解を得るように努力してください。という意見が寄せられました。
 ハ. 昨年度わが社は節電対策として、どのようなものを行いどれぐらい効果がありましたか?対策の内容と、削減効果について具体的な数字を上げてお答えください。
 会社側の回答は、昨年は当初は7%以上の節電のお願いでしたが、関西電力大飯発電所の運転再開以降は5%程度の節電をお願いしていたが、結果として夏季において平成22年度比7.5%の節電ができたということでした。また、具体的な節電対策の事例として、節電につながる新たな料金メニューを導入たというものでした。一般株主からは、持続可能な事業基盤づくりとして、スマートメーター、スマートグリッドの取り組みについて質問がありました。
 二. わが社はCSR活動の一つとして環境保全活動の推進をしていますが、現在具体的な取り組みとして、どういうものをされていますか?また効果はどの程度上がっていますか?
 会社側の回答は、事業活動によって生じる環境負荷の低減は、効果を上げてるとして。坂出のLNG火力発電の設置によるCO2排出量を年間50万トン程度削減したとことや、平成24年の廃棄物有効利用率は99.4%であり大半を再使用しているという報告がなされました。それに対して一般株主から、環境保全を掲げているのに、原子力発電は放射能を出し環境保全にならない。その社会的責任をどうするのですか?等質問が寄せられました

 2. 
伊方原子力発電所の安全対策について
 [今後再稼働予定の3号機についての安全対策]
イ.

ハ.
原子力新規制基準(案)には適合していますか?適合の可否と猶予している対策があればそれをお答ください。
原子力新規制基準(案)とは別に伊方発電所独自の安全対策をしたものがありますか?対策等の有無とあれば内容(予定があれば工事の時期)をお答え下さい。
 会社側の回答は、新たな規制基準で要求されている、原子炉等の注水設備の向上対策、非常用の直流電源の増強、水素処理装置の設置工事などについては、今月末までに完成させる予定。フィルター付ベント設備などは猶予があるため今後するということでした。伊方独自の安全対策としては、電源車の配備、外部電源の多様化などを実施しているとの回答でした。それに対して、高知県の代表者から、安全性を最優先で考え、安全が十分確保されない限りは再稼働は認めないという意見や、一般株主からは伊方原発の安全停止のためホウ酸注入タンクを3号機にも設置するよう再度の要望がありました。(1,2号機には設置済みとのことです。)
 ロ.
  
ホ.
伊方発電所は中央構造線活断層の直近ですが、原子力新規制基準(案)を満たすだけで安全なのですか?【質問詳細:別紙 2.原子力規制委員会
中央構造線活断層は、紀伊半島から伊予灘にかけて360kmに及んでいるにもかかわらず、わが社の地震等の想定は発電所直近の活断層54kmのみがずれた場合を想定し対策をしています。なぜ長大な活断層のうち54Kmのみに限定するのですか?また、前述の想定以上の連動した地震が起こった場合を想定されていますか? 54kmのみに限定する根拠及び出典と 【質問詳細:別紙 5巨大地震と津波について】も読んで、想定以上の地震に対する対策の有無、無い場合は何故起らないと考えるのかをお答えください。
 会社側の回答は、伊方発電所の耐震安全性は、過去の地震や周辺の活断層について、最大の地震を想定した上で余裕のある基準地震動を元に、なお余裕を持って設計しており、十分な耐震安全性を有しているとのことです。また、中央構造線断層帯の連動は、全長360Km連動するケース等も想定し、問題ないことを確認していおり、国からも妥当評価を得ていますとの回答でした。一般株主から技術に100%というものはない。原発の事故は甚大で取り返しがつかない事故を招くため技術の問題ではなく倫理の問題としてどうなのかということを考えてほしい、という意見が寄せられました。
 二.
原子力安全対策は「止める 冷やす 閉じ込める」が大原則ですが、専門家から活断層に近い伊方発電所は地震時、最初の「止める」ができないかもしれないと指摘されています。地震等により「止める」事ができない場合の想定はされていますか?想定の有無と有りであれば、具体的対策、無しであればその根拠をお答えください。
 会社側の回答は、原子炉を停止させる制御棒は、運転中も燃料の中に先端を挿入した状態にあるので、地震時の揺れで重力により落下し、炉心に確実に挿入される仕組みであり、一連の動作は、実証試験を行い確実に作動することを確認しているそうです。またこの動作が作動しなくても原子炉を冷却するポンプを自動で起動させる対策を今回するとのことでした。それに対して一般株主から、外部電源喪失の際本当に安全に停止できるるかどうかについて、制御棒を入れる操作だけでなくその後の低音停止に至るまでを実証実験するべきではという質問が寄せられました。

 3. 
わが社の経営コスト及び電力コストについて
イ.


ロ.
伊方3号機は再稼働の申請をする報道を聞きますが1、2号機はどうするのですか?1,2号機について計画等があればお答え下さい。ない場合は、いつ結論するのか時期を教えてください。
 新規制基準(案)を満たすための設備投資は3号機でいくらかかります(ました)か?また1、2号機も同基準に基づき設備投資をするとどれぐらいかかるのですか?具体的な金額(1,2号機は概算金額でも可)をお答え下さい。
 会社側の回答は、1,2号機も、新基準への適合させ使用する。対応に係る費用については、平成24年度末で100億円程度を支出しており、今後平成25年度から平成27年度の3ヵ年で730億円程度(総額で830億円)を見込んでいるとの回答でした。それに対して、一般株主から1,2号機は30年以上も経過し、設備も古く730億円もかけるのは長期的に考えると損失になるのでは、他へ投資したほうがよいのではという質問や、経済産業者が6月25日に発表した廃炉に向けての会計制度の見直しについて、四国電力はどう考えていますか?というような質問が寄せられました。
 ハ. 原子力発電のコストは他の発電と比べても安くないことがわかりました。わが社としてはそのことをどう考えますか?【質問詳細:別紙 3.安全投資と原発の発電コスト
 会社側の回答は、原子力の発電コストについて、平成23年の国のコスト等検証委員会での算出された、8円90銭 1kw/hを採用しており。原子力発電コストは石炭火力やLNG火力風力太陽光に比べて低い水準であるとの回答でした。一般株主からは、積算根拠をもとめたり、東電の賠償額と比べても試算の賠償費用は安いことや、再処理や廃炉に関する金額が不確定であり、結局は原発のコストは安くないのではという質問があがりました。
 二. 伊方3号機の再稼働に際しては、以前と同じく原発の中でも燃料費が高いMOX燃料で発電をするのですか?通常のウラン燃料は考えていないのですか?MOX燃料の使用の有無と何故使うのか?及び通常のウラン燃料を使用した場合のコスト比較をお答えください。
 会社側の回答は、過去1年2ヶ月安全にプルサーマルを使った実績もあり今後もMOX燃料使用する。原子力発電は、発電コストに占める燃料費の割合が小さいので、プルサーマルが発電コストに与える影響は小さいという回答でした。
 ホ.
今回電気料金の値上げを需要者へお願いすることになりましたが、わが社は経費削減の努力を十分していますか?特に調達に関し、随意契約から競争入札への見直しは必要であると考えます。昨年度の随意契約数及び金額と一昨年度との同数値及び増減率をお答え下さい。また、今後の計画、目標値、目標金額等があれば具体的に説明をお願いします。
 会社側の回答は、実績としては平成24年度は平成23年度に比べ、マイナス18%随意契約が減少している。今後も競争発注を拡大し、総契約額に対する、競争発注金の比率を、平成27年度末までには、15%、その後3年以内に30%の達成を目指す予定という回答でした。
ヘ.
取締役の報酬について、前述の公聴会で、取締役の報酬をもっと下げるべき意見が出され、わが社としても更に減額の検討をする内容の報道を聞きました。最終的にはどれぐらいの金額になるのですか? 報酬総額、受け取る人数及び平均金額について、昨年度及び料金値上げの申請に記載したものと比較をしながらご説明下さい。
 会社側の回答は、役員報酬については、年収の約3割程度の減額実施をしております。料金値上げの申請においても、これを元に料金を算定しております。更なる減額については現在検討中ということでした。

 4. 
再生可能エネルギー及びガスコンバインド発電の促進について
イ.
再生可能エネルギーの開発研究は最重要課題と考えますが具体的な取組みをしていますか?
 会社側の回答は、室戸の風力発電所、松山のメガソーラー 西条のバイオマス混合発電、水力発電所の設備投資を行い出力の増強などに取り組んでいる。加えて再生可能エネルギー等の導入による周波数が不安定化に対応する周波数安定化の技術開発等もおこなっている。また、系統安定化等の全国大への研究にも参加をしているとの回答でした。これに対しては一般株主から,再生可能エネルギーを本気で研究し原発からの転換を図って欲しい、四国が他の電力のリーダーシップをとって再生可能エネルギーへの是非やり遂げて欲しいという意見が寄せられました。
 ロ. 坂出火力発電所 2号機について、LNGコンバインドサイクル発電へ更新する工事が平成28年8月運用開始を目指して平成26年3月に着工することを知りました。現状を踏まえ電力の安定供給をするためにも、この工事は前倒しでするべきです。また、当該発電は建設工期が短く、工事費および、発電の コストパフォーマンスも高いため、本格的な再生可能エネルギ−への過渡期の応急的な発電としては最適だと考え、他の地域においても進めていくべきだと考えます。コンバインドサイクル発電の今後の計画と、わが社の当該発電に対するスタンスをお答えください。
 会社側の回答は、当初の平成28年11月から3ヶ月前倒しし平成28年8月を予定しています。予定どおりの運転ができるように工事を進めているという回答でした。
 ハ. 再生可能エネルギー固定買取価格制度が昨年度7月から始まりました。現段階でどれぐらいの申請数と電力量が申請されていますか?再生エネルギーの種類別に当初から現時点までの申請数及び電力量をお答えください。
 会社側の回答は、制度が始まる以前は、おおむね年間1万件程度の増加でしたが、制度が改正後から、本年6月末までの購入実績は、再生可能エネルギー全体で、件数で約13000件、出力で16万8000KW増加しているとのことで、ほとんどが太陽光発電という回答でした。

 5. 
その他
イ.
昨年度の電力供給については需要者の節電等の協力もあり達成されました。今年の電力需給はどうでしょうか?今年も需要者へ節電の要請をするのでしょうか?  【質問詳細:別紙 4.安全投資と原発の発電コスト
 会社側の回答は、今年度は、猛暑になったとしても供給余裕は6%程度を予定しており、昨年夏のような数値目標を掲げてのお願いはせず、無理のない節電をお願いしますという回答でした。なお、火力発電所の稼働率の上昇に伴うトラブル率の上昇については一般的には懸念されますが、日常点検等を確実にする等に努めているため四国電力に限ってみればトラブル率の上昇はないとのことです。
 ロ. 伊方発電所からでる廃棄物について、今年から放射能汚染のない廃棄物については一般の産業廃棄物として処分・再利用ができるようになったことを知りました。経済産業省の取り扱いによれば汚染のおそれのある管理区域にある資材でも一定の要件を満たせば、同取り扱いにより一般廃棄物として処理できるようです。わが社はこの取り扱いに基づき今年当初から、どのような物を、どれぐらい、どこへ持っていって処分しているのですか?詳細にお答え下さい。また一般の産業廃棄物とするにあたって放射能の測定はしているのですか?
 会社側の回答は、本年1月からこの取り扱いで実施していますが。現在まで汚染の恐れのない区域から、部品を排出した実績があるのみで、その区域は汚染がないのを確認済みであることから、排出処分時に放射線測定していないとのことでした。
 会社側の回答は、本年1月からこの取り扱いで実施していますが。現在まで汚染の恐れのない区域から、部品を排出した実績があるのみで、その区域は汚染がないのを確認済みであることから、排出処分時に放射線測定していないとのことでした。

別紙

1.企業倫理
 今後、電力システム改革が実施されていく中で、小口電力の自由化・発送電の分離・総括原価方式の廃止は避けられないと考えられる。今後は、これまでのような地域独占・送配電網の独占を前提とした経営に代わって、地域の消費者に信頼され選ばれる電力会社となることが求められている。このような状況の変化にどのように対応するのか。とりわけ企業としての信頼性や企業倫理についてどのように考えるか。

2.原子力規制委員会
 四国電力は伊方原発の再稼働をめざしているが、現在、原発に対する信頼は地に落ちている。また新たに設置された原子力規制委員会は、その成立過程と人選において原子力推進側に有利に著しく偏ったものであり、原発推進とは一線を画す姿勢を見せてはいるが、そもそも成立の正当性を欠いており、また今後の運営に公正さを期待できるものとはいえない。そのような規制委が作る新安全基準が、真の安全性を保証するものにはなると考えるのか。また、規制委の新安全基準を満たすだけで原発に対する信頼は回復すると考えるのか。

3.安全投資と原発の発電コスト
 最近の研究では、原発の発電コストは、火力発電・水力発電に比して決して安いものではないことが明らかになってきている。加えてこの先,新安全基準に沿った安全投資が求められ、さらにコストが上昇することが見込まれる。損害保険を加味するとさらなるコスト上昇は避けられない。伊方原発の存続は,地震や津波の危険性をさておいても、企業の健全な経営のためにマイナスでしかないのではないか。先々を見通した賢明な経営判断が要求されていると思うがどのように考えるか。

4.電力需給と原発
 昨夏、四国では5%の節電要請に対して実際の節電実績は8.3%であった。電力需要は8月7日に最大の526万kwとなったが、このときでも13.7%の供給予備力があった。この時関西電力では、大飯原発2基を止めても電力供給は2割以上余裕があった。四国では、昨年から今年にかけての冬の電力需給について、9%を越える供給余力があるとして節電要請をしなかった。電力需給の面からは、伊方原発の再稼働はもはや必要ない。経営上の必要性だけで原発を再稼働させて、危険性と不安・不信をもたらせてよいと考えているのか。

5.巨大地震と津波について
 中央構造線を震源とする慶長地震(1596年9月1日)は、少なくともマグニチュード7.6〜8.0の巨大地震で、愛媛から大分にかけて約170kmにわたり、伊方原発が立地する佐田岬周辺は震度6強〜7で10〜15mの津波が起きた可能性があるといわれている。四国電力は伊方原発周辺について4.5mの津波高を想定しているが、「想定外」の地震・津波は十分あり得るのではないか。 南海トラフを震源とする東海・東南海・南海の三連動型巨大地震は、300〜400年間隔で発生している。この規模の連動型地震は、直近では1707年に起きている(宝永地震)。宝永地震から300年以上経っている現在¤次に起こるのも連動型となる可能性が高いといわれている。このような地震・津波の危険性についてどのように考えるのか。

原発そのものに関しての意見・質問
 ・原発は国策でしてきたので国に買い取ってもらったらどうか?
 ・そもそも今の経営悪化の主原因は原子力発電を採用したことにあるのではない
  のか?として原子力発電を採用したことの是非を問う意見や質問
 ・早い段階での原発からの撤退、脱原発への意見 など等がだされました。

原発以外の意見・質問
 ・社外取締役をもっと増やしてはどうか?
 ・監査役としてリスク管理ができる知見を有する人物をいれてはどうか?
 ・取締役の選任に当たって原発に対する考え方を候補者から聞いてはどうか?
   など等の意見や質問が出されました。
  その他取締役の報酬金額の質問に際して、会社側の回答が不明瞭であったた
  めに、その後の詳しい担当者の説明により問題はなかったものの、会場が一時
  騒然となる事態が起こりました。
                                                      


〈会社法〉
第三百十四条 取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。