株主総会の中での議論 


 会社法第314条に基づく事前質問と回答ほかを記載しました。また、一般株主からのいろいろな質問や意見も出されましたので、主なものをご紹介いたします。
※事前質問は簡略化・順不同、回答は聞き取れる範囲内で内容をまとめております。→事前質問

事前質問の回答外
1.今総会の四国電力の考え
2.事前質問の回答
  ・全般的な問題について
  ・伊方発電所の安全性、安全対策について
  ・経営・会計関係の問題について
3.株主からの「原発からの撤退」意見
4.その他質問や意見

1.今総会の四国電力の考え
 千葉社長以下、経営陣は、安定供給と環境適合の観点から原発も含めて電源はバランスよく組み合わせて電力供給を行なう必要があり、そのためにも原発を再稼働させなければならない、という発言を繰り返しました。 今回、私たちの「原発は高コストで撤退すべき」という提案についても、原発のコストは、2011年のエネルギー環境会議のコスト等検証委員会の数値をあげ、石炭やLNG火力と比較して高くないと回答しました。
 伊方発電所の安全対策については、当社独自の安全対策も講じており、仮に福島の津波や地震と同様のものが来ても安全が確保されるような対策を講じていると回答しました。 
 伊方原発停止後も安定的に電力が供給されている現状と、収束目処さえ立たない福島の事故から、原発が安定供給と環境適合に必要という発言は詭弁であり、また、福島の廃炉費用も見通しが立たない中で、委員会の数値をそのまま当てはめ、遜色ないという姿勢に憤りを覚えます。 伊方発電所の安全対策での発言は、未だ福島の事故原因が究明されていない中で、安全であると断言するのは傲慢であり、福島の事故を経てもなお、考え方が変わらない四国電力の体質に怒りがこみ上げます。皆さまは、四国電力の発言を信用できますか? →戻る

2.事前質問の回答

全般的な問題について

Q:電力需給の観点から原子力発電の再稼働は不必要では?
  ※もっぱら四国電力の経営存続のために伊方発電所の再稼働をするのではないのですか?
A:震災以前は四国の電力の4割強が原発でまかなわれており、原発は電力の安定供給と電気料金の安定維持に大きく貢献していた。しかし今は原発を動かせないので、その欠落分を火力に頼っているが、電力供給は綱渡りの状況である。今後この状態が続けば、火力発電所の長期的な使用によりトラブルが増え安定供給に影響を及ぼしかねない。よって伊方発電所の再稼働は、四電の財政の安定化のためだけではなく、安定供給と地域の生活、生産を支えるためにも必要であると考えます。
Q:火力発電所のリスクは原発事故のリスクと比べると小さいのでは?そんな火力発電のトラブルを回避するために原発を再稼働させるなどという回答はおかしいのでは?そういうことをしっかり考えた上でもう一度回答をしてもらいたい。また、四国電力は、原発を動かすのならそれ相応の覚悟を持たないとだめである。当社は福島のような、事故が起きたときに体を張って伊方周辺の住民を守るための覚悟がありますか?そのような覚悟もないのに、伊方の再稼働などと、言う資格はないのでは?
A:エネルギーのベストミックスを考えれば原子力発電を一定規模で使用するのは必要ということを述べただけである。そのために再稼働をするにあたっては世界最高水準の安全対策を講じながら安全性を確認の上、稼働をさせていきたいと考えている。決して火力のトラブル回避のため原子力を使いたいといっているのではない(覚悟についての言及はありませんでした。)。

Q:原発のコストは高いのでは?
A:H23エネルギー環境会議のコスト等検証委員会で建設費や燃料費やバックエンド費用に加え追加安全対策費用、賠償等のリスク費用や政策経費などを考慮し ても石炭やLNG火力と比較して遜色ないことがわかっており原発は高くない。その上でどの電源を使うかの選択はコストだけではなく、安定供給と環境適合の観点から(原発も含めて)バランスよく組み合わせて電力供給を行なう必要があると考えます。

Q:原子力発電は長期間にわたる廃炉作業や使用済み核燃料の管理などで次世代への負担を強いるものになるのでは?
A:エネルギー資源に乏しくかつエネルギー消費が多いわが国では、経済性を考慮しながら安定的な電力供給とかつCO2の削減のため等地球環境問題に取り組むためにも、原発の再稼働は不可欠である。さらに、国のエネルギー基本計画にのっとり、核燃料サイクルの推進に取り組み、高レベル放射性廃棄物の処分に関する理解活動を推進し、原発を安定的に活用する基盤整備を整備することが、エネルギー供給の一端を担う事業者として次世代への責務であると考えます。

Q:公的企業としてイメージを高めるためにも原発から撤退すべきでは?
A:低廉で高品質な電力を安定的に需要者へ供給することが会社としての重要な使命であるがその使命を果たすためにも原子力を一定程度活用していくことが不可欠であると考えます。

Q:原発の廃炉ビジネスについて積極的に取り組むべきでは?
A:他社の廃炉研究に参加して、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた研究開発運営組織に参加することにより廃炉等の研究をしています。
Q:廃炉の研究をしているという話が出たが廃炉を研究するのであればもう再稼働は必要ないのでは?現在は再稼働に向けて安全対策に膨大な費用を費やしているようですが其の費用を廃炉にむければもっと研究が早くに進むのでは?
A:廃炉は必ずしないといけないものであるため、各種の廃炉の研究機関に参加しているが、廃炉と再稼働を直接リンクして考えているわけではありません。

Q:小泉元首相の発言(原発撤退)についてどう思いますか?
A:福島第一原子力発電所の事故を契機として、さまざまな意見が出ていますが四国電力としては引き続き安全確保に万全を期した上で、再稼働したいと考えている。

Q:火力発電所の定期検査の時期、阿南発電所の更新について
A:定期点検は電力需要の少ない時期に行なうことが決まっているが、他の発電所と重なるとやむを得ず夏や冬の電力需要の多い時期に定期検査をせざるを得ないことがある。また、阿南の発電所は、現時点では設備の更新を行なう計画はない。                                          →戻る

伊方発電所の安全性、安全対策について

Q:伊方発電所の安全性は原子力規制委員会の基準で十分確保できるのですか?
A:伊方の安全対策について国の新規制基準に対応させるのに加え、耐震性の確保や外部電源の多様化など当社独自の安全対策も講じており、仮に福島の津波や地震と同様のものが来ても安全が確保されるような対策を講じています。

Q:伊方発電所の安全対策費用1200億円の内訳を教えてください。
A:1200億円は、一部は伊方発電所に共通する施設等の部分もあるが、ほぼ大部分が3号機固有の費用である。1、2号機の安全対策は3号機の審査状況を踏まえながら進めていく。1200億円の安全対策費は3号機が再稼動により補える額で回収できると考えている。

Q:伊方発電所で設定された基準地震動は南海トラフ地震等にも耐えられる基準地震動ですか?基準地震動は1〜3号機まで同じですか?
A:伊方発電所の想定地震は過去の地震や敷地周辺の活断層等の詳細な調査を行い、最大の地震を想定して地震動を設定している。上記の構造線や地震についても適切に考慮している。原子力規制委員会で現在継続して審議を行なっているが1、2号機についても同じ基準が適用されると考えています。
Q:中央構造線の活断層による地盤の隆起、沈下、傾きはどう考えていますか?
A:中央構造線の活断層は横ずれなので地盤の隆起や沈下、傾きはない。発電所の敷地は非常に強固で問題ない。
Q:基準地震動を突然570ガルから620ガルに変えたのは何故ですか?
A:今回、地震の震源を特定しない場合も追加したため620ガルになった。(今までは地震の震源を特定した場合のみを想定し570ガルという判断をしていた。)

Q:原子炉補助建屋の耐震性については配管も含めて確認されていますか? 
  ※福島の事故では配管(伸縮継ぎ手等)の損傷が重大事故につながったことから
A:補助建屋についても原子炉建屋と同じく厚く頑丈な基礎の上に建てられており十分耐震性があることを確認しています。仮に地震が起こったとしても配管も含めて損傷することはございません。
Q:福島の事故を受けて格納容器の耐震実験を配管もついた状態で行なって再度行ってほしいのですが?
  ※HPで公開の写真は格納容器のみでの実験に見えるため
A:伊方発電所の重要な配管については、格納容器の耐震実験時に配管等を模擬した状態で試験しており、それが基準地震動より大きなものが来ても十分耐えられることを確認しております。
Q:伸縮継ぎ手は伊方発電所で使用されていますか?また、安全性福島の事故を受けて確認されましたか?
A:温度変化等による伸び縮みを吸収する伸縮継ぎ手を、格納容器を貫通する配管等に使用しています。安全性の再検討については、福島の漏洩の原因がわかり次第活かせるところは活かせます。

Q:火山の影響について(伊方でも過去九州の火山の影響があったことから)
A:火山の影響については、評価し問題がないことを確認、伊方は阿蘇から十分離れており、これまで火山灰や火砕流が伊方で確認されたことはありません。また現在の阿蘇カルデラには、9万年前の阿蘇の巨大噴火をおこしたような巨大なマグマだまりはないとされています。

Q:取り扱いが困難な使用済み燃料の存在について
A:取り扱い使用済み燃料はありません。
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経営・会計関係の問題について

Q:株主総会当日の議決権数を数えるシステムの導入はしないのですか?
A:集計システムはあるのは知っているが、議決の優劣はシステムを使わなくてもはっきりわかるので特に使う必要はない。

Q:株主名簿の閲覧について高松でもできるようにしてほしい
A:会社法及び定款等に則って株主管理人である三井住友信託銀行に株主名簿を備え置いています。これは、株主の個別情報を厳密に管理する必要があるため、このような業務を専門に行なう大阪の証券代行部で備え置くのが、株主にとっても一番よいものと考えております。

Q:寄付金の関係について
A:平成25年度の普及開発関係費は総額で約13億円(震災前22年度に比べて6割減)です。これらの費用は円滑に事業を進める上での必要経費であると考えているが、今後とも適切な使用に努めたいと考えている。平成25年度の寄付金は2000万円(震災前22年度に比べて9割減)で、寄付金は一定程度は必要と考えている。団体費が8億円(震災前22年度に比べて3割削減)で、地域の活性化の運営に当たって不可欠な団体へ支出普及関係費を支払っている。
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3.株主から「原発からの撤退」意見
@原発からの撤退(環境適合性への疑問から)
 公開質問の回答では原発を使用することは、安定供給、環境適合、経済合理性から必要であると回答しているが、質疑応答のなかで四電がしきりに言われているのは経済合理性だけだ。しかし、原発の問題は大飯原発の判決を見てもわかるように人格権、もっといえば、環境適合などというよりも、生命に適合するかどうかという問題を孕んでいる。
 地震が起きるかどうかの確率を前提にして、過去の事象などから統計的な数字を基準として設定しているが、この設定でカバーできないような深刻な事故が起きたときに、果たして生命を守るという観点はどのように担保されるのか、その点がまったく見えてこない。このようなことを考えると原発から今すぐ撤退するしか方法はないと思う。

A原発からの撤退(世論調査の結果を受けて)
 電力の小売事業化(自由化)がこれから始まるが 四国の新聞各社の世論調査では原発の再稼働に反対が60.7%であり、安全性への根強い不信は高く、原発を不安視している人は86.9%もいる。(四国新聞2014年2月2日付)そのような中で、原発を再稼働させても、一般の人は四国電力から電気を買わないのではないか?幹部はこのような数字をどう考えているのか?

B原発からの撤退(エネルギーのベストミックス・新技術の観点から)
 安定供給、環境適合、経済合理性からも電源はベストミックスにする必要があるといわれているが、そもそも4割も原子力発電に頼っていたことがベストミックスとは言えず、現在の経営悪化につながったのではないのか?また四国電力は再稼働をする予定で投資しているが、ガスコンバインドサイクルなど新しい技術が出てきた現在、原発を再稼働し、また原子力に依存することは経営上よくないのではないのか?

C原発からの撤退(規制基準は安全基準ではない テロ・戦争の危険性)
 第3国との戦争やテロなんて杞憂だと思っていたが、そのようなことも想定される現在とても再稼働は許されないと思う。

D原発からの撤退(原発の地域に住む自分にとって)
 伊方の近くに住んでいる。ふるさとを追われるのは嫌です。他の方は配当がどうとか言う意見もありましたが、最悪のことを考えなければならないのではないのですか?皆さん最悪のことをイメージしてください。ここにいる方がふるさとを追われることがないように再稼働はしないでください。一番の幸せは普通の生活をおくることである。

E原発を推進する人への意見に対して(原発からの撤退)
※今回の総会は原発を推進する株主の野次が多かったことから
 今日の株主総会は原子力推進の人が多い、わたしは東電の株をかなり持っていたが大損をしました。その大損は配当みたいな問題ではありません。皆さん(原発推進派の方)はそこのところをどう考えているのか知りませんが、それだけ原子力発電というものはリスクがあるということです。火力発電は事故が起る可能性が高いとしても、規模や性質とか原子力の事故から比べたら微々たるものである。そういうことを考えたら原子力発電は一攫千金ではないですが配当がほしいために再稼働を推進するというお考えはどうかなと思います。 あと、役員の方へ、福島の事故現場は見られていると思いますが、周辺に住む人たちの被害の様子はどれぐらいの人が見られたのでしょうか?それが疑問です。その被害の現状を見れば、とても再稼働をするなどということをいえないのでは。
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4.その他質問や意見
@経営努力への怠慢と再稼働への意見
 株主総会の冒頭で幹部は配当がないことについて頭を下げており相当な覚悟があったと思われるが、総会の質疑応答を通じて、配当がほしければ伊方発電所の再稼働ありきだというような議論になっているような感じだが、そんなことはないと思う。(再稼働を言う前に)先ずは四国電力のコストダウン
が必要ではないのか?質疑応答では、資材調達については努力するということで3年後には15%、6年後には30%と言われましたが、他の電力会社がどれぐらいコストダウンしているのかご存知ですか?また電力以外の一般企業で、行政でどれだけコストダウンの努力をしているのかご存知なのですか? その程度で努力するというのはおかしい。現状をきちんと把握した上で改めてもっとコストダウンの努力をしてほしい。

A社外取締役・女性管理職の登用についての意見
 質問)社外取締役に女性を入れたのは評価できるが、女性の登用はもっとするべきだと思う。社内取締役や、女性幹部、女性管理職はどれぐらいいるのか教えてほしい。また、社外取締役に経済の専門家だけではなく倫理や社会学の観点から幅広く事業について検討できるような人材を登用すべきではないでしょうか?
 回答)女性が活躍できる企業にしたいと思っているが、社内の女性としては総合的に判断してすぐに役員に登用できる人はいないがそのようなみちも作っていきたいと思っている。女性管理職はH26年度末で22名在職しており幅広い業務で活躍してもらっています。

B再稼働と配当の関係・株主数に関しての質問・回答
※他電力会社の配当状況の質問をしたところ、四電側が「知らない」という回答をしたことから
 質問)他電力のことを知らないのは会社として手落ちである。千葉社長さんは今までの質疑応答で原発が稼動しない限りは配当が出ないような言い方をしているが、中国電力も、北陸電力も、東北電力も配当が出ている。ひるがえって、四国電力は0円である。経営の収支を比較すると四国電力と変わらないにも関わらずである。これは明らかに、経営努力、経営の失敗である。加えて昨年度まで筆頭株主だった日本生命は100万株も四国電力株を手放し、個人株主も昨年度に比べたら3000人以上も減っている状況である。株主に見放されるような会社になったら会社としては立ち行かないと思うのだが、どうお考えなのか?
 回答)他電力のことは知らないが、他電力会社は最終的に黒字になったのではと考える。また当社としてはやるべきことはやった上での結果であり仕方がないと考えている。これは原子力の比重の重さが原因であり何とか稼働させることにより利益を出したいと考えている。
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〈会社法〉
第三百十四条 取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。
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