平成24年度株主提案書の提出・総会結果のご報告
 平成24年5月2日 35人の株主3万4500株(実際に認められたのは30人3万600株)の賛同を得て、四国電力へ”脱原発”を定款へ盛込むことを求める株主提案を行いました。
提案内容といたしましては
@原発からの撤退
A放射線被爆労働を伴う事業の中止
Bプルサーマル発電の中止
C再生可能エネルギーの開発・推進
D電気料金の値下げ
E余剰金の配当の引き上げ((配当金一株年70円)
  (四国電力の定時より+10円アップ)
現行の定款との比較・提案理由については下記に記載します。
*決議結果は平成24年6月29日関東財務局へ提出された臨時報告書の数を記載。


第5号議案 定款一部変更の件(1)
現行定款
変更案(下線は変更部分)
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を営
むことを目的とする。
(1) 電気事業
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 電気事業、ただし、a.原子力発電からは撤退する。
◆提案理由
 原発は運転によって大量の放射性物質を生じる死の灰製造所である。使用済燃料の再処理工場や増殖炉の目処が立たず核燃サイクルは絶望的、高レベル放射性廃棄物の最終処分工場も見当たらず、燃料貯蔵プールは満杯に近い。原発の運転は未来の世代へも危険と負担を強い、社会倫理に反するものである。
 東海、東海南、南海や、伊方原発北6kmの中央構造線など、超巨大地震の発生確率は高い。伊方1号炉は35年目で老朽化の問題を抱える。福島の事故により安全基準の見直しが行われようが、停止した伊方原発は再稼働を求めず廃炉措置を取る方が社会に受け入れられやすい。
 福島の事故からは、原発をとめても電力不足に陥らなかったこと、原発こそが破局的な事故によって電力不足を生じさせ電力の安定供給という社会的使命を果たせなくなるばかりか、甚大な被害の賠償の負担により経営の危機に至ることを学んだ。したがって原発がから撤退すべきである。
●決議結果 賛成78,897個 反対1,297,159個 棄権2,781個 
        反対率93.4%で否決

第6号議案 定款一部変更の件(2)
現行定款
変更案(下線は変更部分)
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を
営むことを目的とする。
(1) 電気事業
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 電気事業、ただし、b.放射線被曝労働を伴う事業は中止する。
◆提案理由
 「核の平和利用」と言われるが、誰にとっての平和なのであろうか。原発で使われるウラン燃料は、主にナミビア、米国、オーストラリアで採掘されている。八木正著『原発は差別で動く  反原発のもうひとつの視角』によると、ナミビアのウラン採掘労働者は、ウランを掘っていることも知らされず、いかなる安全対策も施されていない場所で日常的に被曝している。また、原発炉心部での定期点検作業、除塵作業、修理作業は、労働者の被曝なしにはできない。彼らは白血病やガン、その他様々な症状に苦しみ、20代、30代で亡くなる方もいる。そして原発事故が起きた場合、犠牲になるのは誰であろうか。
 福島の原発は、東京に電気を送っていた。ところが事故で被害に遭ったのは、東京ではなく主に福島の人々である。このように、誰かの平和を奪い、健康や命を犠牲にしなければ運転できない原発という発電手段をやめるべきである。
●決議結果 賛成77,098個 反対1,298,822個 棄権2,753個 
        反対率93.5%で否決

第7号議案 定款一部変更の件(3)
現行定款
変更案(下線は変更部分)
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を営
むことを目的とする。
(1) 電気事業
(目的)
第2条 本会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 電気事業、ただし、c.プルサーマルを中止する。
◆提案理由
 日本は核不拡散条約(NPT)に加盟している。プルサーマルで使われるのはプルトニウムを含むMOX燃料である。プルトニウムは、たった5kgで長崎を破壊した物質で、IAEAによると、1〜3週間で核兵器材料に転換可能である。しかも使用済み燃料と違い放射線の遮断をする必要がなく、簡単に盗まれる可能性があり危険である。
 またMOX燃料は海外から輸送している。以前関西電力のMOX燃料輸送の際、16ヶ国からなる南太平洋フォーラムはプルトニウムの輸送を憂慮する考えを発表した。同じ時期にカリブ海共同体は、「いかなる事故でも海域の諸国民やカリブ海の生態系に壊滅的な結果をもたらすことを十分に認識し、カリブ海をこのような核物質の輸送に使うことを完全に拒否する」と述べている。輸送海域に危険を及ぼすことは、国際社会から強く非難される行為である。
 燃料コストも高く、危険なMOX燃料を使用するプルサーマルは中止すべきである。
●決議結果 賛成82,994個 反対1,293,021個 棄権2,781個 
        反対率93.1%で否決

第8号議案 定款一部変更の件(4)
現行定款
変更案(下線は変更部分)
《第2条の第(20)号の変更》
(20)前各号に附帯関連する事業
《第2条の第(20)号の変更》
(20)再生可能エネルギーの開発、推進
(21)前各号に附帯関連する事業
◆提案理由
 原子力発電が決して安全でなく、いったん事故を起こせば壊滅的な被害を及ぼすことが福島第一原発で証明された。将来予測されている南海、東南海地震の伊方原発への被害は福島第一の事故からも「想定内」のことである。
 原子力発電は人間の制御できない毒性物質を生産しつづけ、使用済み燃料の再処理は未解決のままで、今後益々環境に対する負荷は増大する。いうまでもなくウラン燃料は有限であり近い将来枯渇する。
 今こそ危険な原発を廃止し、再生可能な小規模水力、風力、地熱、太陽エネルギーなどの発電手段に切り替えるべきである。化石燃料に頼らない持続可能な社会の構築のためには、再生可能エネルギーの開発、研究をより積極的に進めるべきである。
 伊方原発廃炉後の跡地は再生可能エネルギーの開発、研究の拠点として活用する。
●決議結果 賛成83,975個 反対1,292,361個 棄権2,588個 
        反対率93.1%で否決

第9号議案 定款一部変更の件(5)
現行定款
変更案(下線は変更部分)
(目的)
第2条 本会社は、次の事業
を営むことを目的とする。
(1) 電気事業
《第2条に第2項を追加》
第2条 本会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1) 電気事業、
2 前項各号の目的を達成するにあたっては、経費を節減し、電気料金を下げる。
◆提案理由
 わが社の過去10年間の連結貸借対照表によれば使用済燃料再処理等引当金は、毎年約1400億円である。原子力発電を廃止すれば、この引当金の大半は不要になる。廃止のためには原子力発電施設解体引当金があるので、福島第一原子力発電所のような大事故が起こらない限り、この引当金を充てればよい。少なくとも「高経年化」している1号機、2号機から廃炉にしていけば、使用済燃料再処理等引当金も少額になる。さらに事実上独占で必需品の電気に毎年50億億円を超える販売促進費、広告宣伝費は不要である。その分電気料金を現在より引き下げることは十分可能だと考える。
●決議結果 賛成77,783個 反対1,298,716個 棄権2,416個 
        反対率93.5%で否決

第10号議案 剰余金の配当の件
現行定款
変更案(下線は変更部分)
配当金を一株年60円とする。
配当金を一株年70円とする。
◆提案理由
わが社の第88期中間配当金は一株30円である。この額は沖縄、関西、九州、中部の各電力会社と同額で、期末配当金と合わせれば一株年60円になる。一方、一株単価を見れば、沖縄電力が最も高く、この10年経営状態もずっと安定している。わか国の10電力会社のなかで規模が最小でかつ原子力発電所を持たない沖縄電力の経営が長期的に安定し、故に株主配当金も年60円を維持しているのは示唆的である。
 沖縄電力に次いで一株単価が高く、経営も安定しているわが社がまっさきに脱原発に踏み切れば、その社会的効果は計りしれない。原子力発電にかかわる諸経費の節減のみならず、株主、消費者の大事故への不安も解消され、わが社は一株年70円配当が十分可能な優良企業になる。
●決議結果 賛成6,110個 反対1,300,962個 棄権82個 
        反対率93.7%で否決